<ウイルスに勝つためには、手段を選んではいられないというウィーバー博士>
『NUMB3RS 天才数学者の事件ファイル』THE FIRST SEASON [ NUMB3RS ](2005)/CBS/アメリカ
#.3「謎のウイルス」[ Vector ]
“郡4つ、死者6名、発症30件、謎の病原体1種。ドンとテリーが現場に着くと、CDC(疾病予防管理センター)が物々しく立ち働く中、公衆衛生局のリー・ハバーキャンプ女史が待っていた。第1の犠牲者は、ジョシュ・レクイマー16歳、土曜にたおれた。ロス一帯に同じような症状の患者が30人いて、死者6名。原因がハッキリするまで、住人を隔離するしか手がない。FBIはバイオテロの可能性を探るために、まずは発生地点の特定するために、ベクトル解析で被害者の接点と広がりを予測する。計算するには優秀な数学者でないと無理なので、さっそく手配しておいたとハバーキャンプ。ドンはFBIにも優秀なアドバイザーがいるというが、国家安全上の機密が関わる事件ということで、その人物は最高レベルの資格がある理科大学の教授と言われてやってきたのは、何とチャーリー。ドンは唖然とする。
主な症状は、痛み・高熱・嘔吐、インフルエンザや食中毒に似ているが、はるかに進行が早くて深刻。直接の死因は呼吸不全。公衆衛生局としては、原因がはっきりと特定されるまでは、空気感染型伝染病を想定して動くという。伝染性の病原体は、大量破壊兵器の一種とみなされているので、捜査自体が極秘。原因特定はCDC・公衆衛生局に任せるとして、FBIは犯人を捜すことに専念する。
発生源の追跡は、多変量解析が関わる難しい作業。出所を突き止めるには、複雑な統計分析とグラフ理論が必要になる。複数の感染者に、共通する場所がいくつかあった。5人はダウンタウンに行っていたものの、発生源かどうかはわからない。出所の特定にも拡大の追跡にも、データが必要。
バイオテロなら、何らかの声明を出すはずが、国内外で犯行声明は一切なし。病原体が判明するまで、犯罪の線で捜査は続行することに。
地理的データを入力すれば、被害者の分布とクラスターの発生可能エリアを、リアルタイムで分析することができる。さらに拡散と増殖率を計算してみると、わかることは発生源。0号患者の特定。何処で感染者が出てくるか、データが多いほど正確にわかる。
ハバーキャンプがもって来た、新たな患者11人でようやく必要なデータが揃い、共通の場所が浮かんできた。同じ根っこから、木が2本生えている感じ。南北へ1本ずつ、どちらも根っこは、ユニオンステーション。感染者のうち12人が、あの駅に行ったか、行った人と接触していた。
ユニオンステーションは、壁にアスベストが見付かったという理由で、緊急閉鎖。ハバーキャンプからの連絡で、病原体は、反発性インフルエンザいわゆるスペイン風邪だという。発生した1918年当時はとめられなくて、治まるまで待つしかなく、アメリカだけでも半年で60万人が死亡した。
今日は、父のアランがボランティアでユニオン駅近くに行く日。ドンは内規に従って言えないといい、チャーリーは何もせずにこのまま行かせるつもりかという。何のかのといってくる息子2人に、約束したからには出かけるといいつつも、二人の言動からダウンタウンに行かせたくないと感じた父は、一言考えとく。
ウイルスが人工の物の可能性が出てきたとテリー。スペイン風邪を研究しているラボが4ヶ所、その中の一つがロスのジェノ社。チーム責任者のウィーバー博士が、50年前アラスカの永久凍土から発見された遺体の肺から、1918年ウイルスのリボ核酸を取り出すことに成功して、そのウイルスを実験室で再現したという。スペイン風邪もどこかで生き続け、放っておくと又多くの感染者を出すという。
博士のチームは3人だけで、アナリストのマーチン・グロルシュ、微生物学者のジェシカ・エブリー。ドンが事情聴取して持った感想は、一人はヒーロー願望にとりつかれて、一人は完璧にイカレテル。
親友ラリーの“常にデータにもどれ”で、チャーリーは閃いた。ウイルスは駅を通ったけど、基点じゃなかった。ベクトルをダウンタウンのバスターミナルに変えてみる。さっきより36%も高まって、感染者のつながりが、駅より大きいということ。
死者の8割が、北のエリア。同じウイルスなのにはっきりと差が出るということは、論理的には2種類のウイルスが存在することになる。自然に2種類のウイルスが同時に発生するのは統計的に不可能。ということは、意図的に何者かが拡散したことになる。
CDC(疾病予防管理センター)から連絡が入り、2種類のうち致死率が低かったほうは、遺伝子マーカーの特徴から、メリーランド州のラッセル研究所のもで、ジェノ社の狂暴なウイルスと一緒に撒かれていた。
ウイルスは北行きと南行きのバスに、スプレーで散布されていた。2種類とはいっても、ほとんど同じつくりをもつウイルスだから、弱いほうでワクチンを作って、強いほうに使うことがあるという。チャーリーが大まかな違いを知ろうと単純化して重ねてみると、もう一つ別のウイルスの、タンパク質の類似性が見えてきた。そのウイルスには治療法があったことを、ハバーキャンプが思い出す。
グロルシュの以前の勤め先は、ラッセル研究所。ジェノとラッセルは、バイオ研究のライバル会社。ウィーバー博士にヘッドハンティングされて移るとき、手土産にサンプルをもってきたという。いくつもの州を跨いで、バイオハザード物質を移動させるという重罪を平気で犯していた。
ワクチンを製造しているグレイグマック製薬との契約は、複数年で何億ドルにもなる。治療のためのワクチンは、弱いほうから作るということで、グレイグマック製薬はラッセルと契約していた。
バスターミナルの防犯カメラの映像に、ウィーバー博士が写っていた。自分で作った危険なウイルスをばら撒いていた。ウィーバー博士自宅は留守、オフィスには戻らないといって出て行ったという。携帯に電話を入れると本人が出た。ドンが上手く時間を引き延ばして、場所を特定することに成功。ロス市警とハイウェイパトロールに応援要請を出して、逮捕に向かう。
ウィーバー博士がいた。速やかに手荷物を奪い、逮捕拘束。人命を救うために、ウイルスの威力が強いことを確かめたかったという。ウイルスに勝つためには、手段を選んではいられないという”
今回も、豆狸が知らない言葉がいくつかあったので、簡単にまとめておきます。
疾病予防管理センター【Centers for Disease Control and Prevention】;略称CDC。アメリカ合衆国保健社会福祉省所管の感染症対策の総合研究所。
公衆衛生局【United States Public Health Service】;略称PHS。アメリカ保健社会福祉省の下部組織。
多変量解析(たへんりょうかいせき);複数の結果変数からなる、多変量データを統計的に扱う手法で、主成分分析、因子分析、クラスター分析などが用いられる。
それにしても今回のウィーバー博士は、『クローザー』にウィル・ポープ ロス市警副本部長で出演しているJ・K・シモンズ。顔見知りを見つけるのも、海外ドラマを見る楽しみの一つですね。


